金彩菊文皿

作家Bの最近作、経29.5㎝、金彩菊文平皿5枚です。日本古来の菊文様ですが、イギリスの画家スタンリー・スペンサーの作品を尊敬している作家Bの、日本画家としては個性的な方向性が金花に暖かさを感じさせる仕上がりになったと思います。

又、ご依頼下さったHさんが、飾り皿としてでなく、テーブル上の食器として料理好きな娘さんへ送られるお気持ちが、しみじみとした深い愛情を感じさせる平皿に見えると思うのは身近な者の思いこみでしょうか。

仕事の途中

登り窯には花入れ、食器、童傭といろいろなものを入れます。作家Aは、何年かぶりに木の葉皿を制作中です。私が見てきた作家Aの木の葉皿と言えば焼き締めでしたが、今回は木の葉に練り込みの模様が入っているようです。生の土の段階ではグレーのバリエーションで、色味の見当がつきません。出来上がりが楽しみです。

 

道具土

山桜が真っ盛り。雨で花びらが散るのが惜しまれます。毎日の窯詰めの方、道具土が足りなくなりましたので、業者に注文しています。届くのが遅くなっています。登り窯が数少なくなっているせいでしょうか。我窯では40kg以上使いますから必需品です。窯を修繕する木節、モルタルで代用と云うわけにもいかず、届くのを待っています。

 

花冷え

四月になりました。島も今年は例年より肌寒く、しまいかけた冬の物をまた出したりしています。花冷えの中、ほろりほろりと咲き始めた雪柳。写真を撮っている私を気にも留めず、せっせと蜜を吸って回る小さな蜂の様子に春を感じました。

タタラ

練り込みタタラ足付鉢

ろくろを使わないタタラ造り。一見シンプルな技法ですが、上手に造るのは難しいです。普段ろくろばかりの私(作家B)が、たまにタタラを造ると無駄に土を触って上手く決まりません。作家Aは山ほどタタラを造ってきたので、手際よくチャッと決めることができ羨ましい限りです。丁寧に手をかける作業以上に、必要最小限の手数でみせる仕事に職人技が秘められています。

(上)焼き締め豆皿、(下)焼き締め長方タタラ皿

 

 

 

玉の皿回し

 

ご飯をねだる時、しばしば玉はその辺に転がっている陶器を回して、

チラッとこちらを見ます。

当然怒られるのですが、こちらも無視できないので効果は抜群です。この玉の皿

回し、察するに、えさ皿の周囲に落ちたキャットフードを取ろうとしたのが事の

  始まりではないかと思います。真夜中、えさ皿をしまってあるかごに手を突っ込み

一心に皿を回している後ろ姿は、まるで「妖怪 小豆洗い・・・。」

東京展での同窓の人達⑧

平成29年2月の東京での展示には、山内達雄の友人、新居田郁夫さんご紹介の方々が訪ねて下さいました。大島窯作陶展は個展と異なり作家A、B二人の展示なので、作家Bの成長を喜んでいただいています。

漆芸科の新居田さんは画家になられ、舞踊家塩穴迪子さんと朝倉窯を訪ねていただいたこともあり、田辺恒弥のマリンバ曲にカバー絵を描かれたものを送って下さったことなど思い出されます。

山内達雄の死の翌年、同じ病気で舞踊家の伴侶を亡くされました。その終焉までを記録した「紫青の舞踊」を歌集にされています。一方私は、作家Bの助力を得て山内達雄の、のこした登り窯を維持することでこれまで懸命でした。凡庸な表現の能力しかありませんが、新居田さんのまぶしい感性の歌集の中に亡くした人への同じ想いを拝読しています。

画 新居田郁夫

 

山茱萸ー2017

年ごとの東京展の折、新幹線に乗って訪ねてくれる中学時代からの友人、Hさんは「今年は腰痛でのぞけない。」と、会場に電話を入れてくれました。年齢を経て再会後、我々は球技でいえば直球型、と改めて気付いた大切な友です。展示から1か月経ったこの3月、腰痛回復の報を伝え聞き、ほっと安心した目に映る満開の山茱萸の黄色が、幸福のハンカチに見えました。