( 吉野君のバックハンド)
5月8日正午から始まり60時間かけた今年の登り窯の焼成を終えたところです。薪割り、薪の乾燥、窯詰め、窯焚き、全て皆に協力してもらってやっと焚き上げるという窯です。特に三室半の房のうち、1の間を焚く15~17時間は若い男性の助力が必要です。これまで芸大の後輩をはじめ、心ある若い青年の何人もがこの体力の必要な汚れ役の仕事に携わってくれました。四年前からは益子焼の青年達が手伝ってくれています。今年は三回目の吉野君でした。我登り窯を「(先代は)大きなものを遺されましたネ。」と目を輝かせる青年です。この言葉は窯の維持に苦労し重く感じている私の気持ちをほぐしてくれました。吉野君のプロの火入口の投入さばきはみごとで、窯の火中を確かめながら火力を落とさぬようバックハンドで薪を投入する方法を教わりました。
(作家A)