STAGE銀座④

 

販売をしながら忙しく作業に明け暮れていると、安易な仕事になっていることに気付かなくなっていることがあります。東京での催しは小さなギャラリーでしたが、日頃の仕事の全体像をつかむのに好都合でした。

何時も観てくれているkさんが一枚の皿の白さに疑問を投げかけてくれました。仕事の分野は異なりますが作家の一言です。磁器と異なり陶器は白さに変化があります。その為、発色の度合いが、その皿を作る人の作品の方向づけをより鮮明にします。土質の選び方、釉の濃度、又、酸化炎で焼成するか還元炎にするかなど全てが発色の為の過程です。貴重な疑問を受けて自分の仕事の方向性を明確に表現するこだわりを出せたかな、と此度の展示のことを思い起こしています。

 

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練り込み四方皿

 

 

 

展示会の発送

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新作「練り込み手雛の箱」

 

 

 

昨日、ステージ銀座へ荷物を発送しました。

小さな会場ですが、準備でやることは盛り沢山です。

作家Bは金彩の仕上げに今しばらくかかります。

 

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各種「金彩杯」

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各種「練り込み手豆皿」

 

 

 

 

送り火

八月は日本という国を省みる刻です。

そんな時、我窯は月末の東京での小規模ながら作陶展を催す準備に汗を流しています。(8月24日~29日/STAGE銀座)

きのうはお盆の達雄の送り火を焚きながら、つい「そちらでも(あの世)がんばってね。」と口に出て、「それはないだろう。」と作家Bに笑われました。

 

化粧魚文水注ぎ

山内達雄作

化粧魚文水注ぎ

東京展での同窓の人達⑤

 s-DSCN5693雲に乗って(鉈豆)」

130号F

第5回 露木恵子個展 シリーズー雲に乗ってー

 

 

院展に出品されていた日本画家露木恵子さんは、「作家の社会性」を行動で実体験され続けています。文化と福祉の結びつきを深く考えておられ、病院や福祉施設へ自作の絵画を寄贈されてきました。その寄贈先は70近くになるそうです。作品は(雲とか朝焼けとか)優しい自然が中心です。お人柄も作品に通じるものが漂ってくるのですが、時折、職人的粋さと云うものがちらつくときがあり、親しみを増します。それは、私の恩師である名著「工芸概論」などの著者、前田泰次先生が父上であること、お祖父様が横山大観時代の金工科鋳物教官、田中清次先生であったと云う環境が個性となっているように思います。

私の個展には「登り窯の子供達」の人形創りの時代から訪ねて下さっていて、干支の丑年(前田先生の干支)あたりから作品の香合に「ウチにくるかね。」と声をかけながら毎年求めていただいています。

 

 

木槿

散歩大好き人間の作家Aですが、この暑さ、早朝は仕事にあててしまうので、炎天下の散歩というわけにもゆかず、室内のエアバイクで自転車こぎをしています。たまに夕方散歩する時、目に触れる本庄山を彩るむくげの花は可憐でほっと一息です。

 

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東京展での同窓の人達④

鍛金作家、中谷昭子さんは公私共にお世話になっている大先輩です。諸事にご堪能で、以前、芸大受験前に「美大にしようか、音大にしようか」」と迷ったと話されたことを思い出します。80歳になられて初めての個展を催されたと聞きました。それまでの人並みはずれたご経験のことを思うとその生き方に感服あるのみです。

 

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『花器k』

今年2月の「現代美術展」(今治河野美術館)の中谷さんの出品作品

 

三次へ③

41年前のこと、父、太田忠はたまたま訪ねた私に看取られながら三次中央病院で、亡くなりました。63才でした。その時以来、此の度久しぶりに訪れた病院は見違える程大規模になっていました。以前見たことのある父の絵もありました。病院という特殊な場では牧歌的な画面が浮いているように感じられましたが。

昭和16年、33才の時新制作出品の「雪景」で岡田賞を受賞してからの半生、フランスに二度の遊学をし、色彩と絵具を厚めに際立たせるなどマチエールで風景に強さを求め続けた父。

この病院という場の絵に限っては今の時代となじむのに時間がかかるかもしれないと、ふと思いました。

 

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無花果(いちじく)の苗

7月17日大型台風11号が北上、四国に上陸しました。一喜一憂する夜が明けました。

一年ほど室内で鉢植えで育て、今年地植えしたいちじくの苗はおおきな夜叉五倍子(やしゃぶし)の木やクマ笹に守られ無事でした。いちじくの大好きな作家A、果実を手にするまで元気に働いているでしょうか?それはとても疑問ですが、楽しみです。

 

 

 

東京展での同窓の人達③

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山内達雄の友人、彫金作家の木全本さんの作品はみる人に詩的な流れを伝える素材が工夫されています。その為伝統にとらわれない作家の意図が文学のように伝わってきます。それは作家Aからみると羨ましい造形です。その木全さんは作家Aの作陶展にいつも来て下さり、練り込みに関心を持ち言葉をかけて下さいます。「貴女の意図がはっきり現れている」「個性ある練り込みを大切に」と何時も励まされ勇気ずけられています。

 

 

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大学時代にもらったブローチ

 

東京展での同窓の人達②

 

 新関公子さんが杉本公子さんだった頃、私達二人は芸術学科八名のうち、二人の女子学生だったので、よく行動を共にしていました。人間国宝になった三浦小平二さんが部長だった芸大の陶芸クラブにも二人で入ったものです。作家Aの作陶展の案内状が遅れた時など、届くのが遅かったから見にいけなっかたと不満を便りにしてくる新関さんは私の作品に最も厳しい人で、どの展示の時も容赦ありません。その彼女、一昨年優れた芸術評論に贈られる第22回吉田秀和賞を受けました。「ゴッホ 契の兄弟 フィンセントとテナ・ファン・ゴッホ」。芸術学科同級生の多くが大学教授になり今や退官しましたが、私の東京展をみに来てくれるのは彼女だけです。私の作品に対する厳しい評は、私を若い頃の自分にふとよみがえらせる力があります。「お互いもう少々がんばりましょう。」の言葉も添えてありますから。 

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教官室で使ってくれていたという粉引手草文碗